クソリプという表現に思うこと

クソリプというのは文字通りクソみたいなリプライのことである。ツイッターSNS)上では多くリツイート、いいねされることをバズるというが、バズると多くの人の目に付き、その結果クソリプと呼ばれる現象が生じる。
クソリプは一般にはレアイベントである。大多数に共有されたことで、レアな人物の反応を引き起こしたのか、普通の人のレアな反応を引き起こしたのかは、ケースバイケースであろうが、いずれにしても、試行回数が多ければレアな事象が生じるという、そういう類の現象であろう。
大雨で河が氾濫すると事前に警告された状況で、河原でバーベキューを続行する集団が生じるのも、現象としては大多数がいればレアな事象が起きうるという話で、ある種の必然ではある。背景に相応の事情があったのか、単に軽率だったのかは別にして。
さて、SNS上では途方もないデータが行き交っており、そういうマクロの視点でみればクソリプはよく観察できるレアイベントで、そこにコミュニケーションエラーの類型が現れるというのが、引用したツイートの話である。これ自体がコミュニケーション寄りの心理学的研究のネタになりそう――というかもうなっていると思われる。
一方で、クソリプを引き起こす投稿というものもある。釣りや煽り、炎上を誘う投稿である。意識的に、あるいは無意識に突っ込み所が多い文は、人の反応を呼び込む。こうなるとクソリプというよりクソツイではないかという感じになってくる。
主旨はおかしくないが、文体・表現が誤解を招くというケースもある。単に悪文なこともあれば、単語の組み合わせが不思議な相乗効果を発揮していることもある。○○ホイホイと呼ばれるような、特定の層に引っかかる書き方というのもおそらく類型化でき、一般化すると読解力の問題と合わせて心理学的研究のネタになりそう――というかもうなっていると思われる。
実際のところ、クソリプ、クソツイは相対的かつグラデーション的な概念であるが、それを二値化して組み合わせを考えても、

  1. クソツイにクソでないリプ
  2. クソツイにクソリプ
  3. クソでないツイにクソでないリプ
  4. クソでないツイにクソリプ

の四通りの状況が考えられる。本来的にはクソリプは4.を想定して生まれた言葉であるが、便利なスラングというのは濫用されるもので、これら全ての場合においてクソリプという言葉が使われてしまっているように思われる。

まとめ

とまぁグダグダ、取り留めのない考察をしてきたが、結論を言うと、クソリプというのはマクロの視点でみるとよく見られる現象で、ほとんど明らかなケースというのも類型化されているが、個々の批判的リプライに対してこのレッテルを張る発想は危ういということである。他者の意見を見る解像度が著しく低下し、知的にどうしようもない状態へと向かうことになる。
少なくともフォーマルな場、立場、真面目な議論において、クソリプという表現は避けるべきである。逆に、政治家のような立場の者が真顔でクソリプなどと言いだしたら、完全に危険信号である。