愚者は経験に学び賢者は歴史に学ぶ

という言い回しがある。
ふと気に入らない感じがしたので、無粋だとは思うがツッコミを入れる。

まず、歴史を過大評価しているきらいがある。歴史を学ぶことを貶める気はないが、ぶっちゃけ歴史は「特定の視点からの世界の経験の記録」であって、それ単体ではあまり解像度の高い未来予測をもたらさない。解像度の高い話をしたいなら、やはり実験とかデータ分析が大事である(もちろんできなければ手持ちの情報から考えるしかないが)。
何というか、うんちく好きの人などが「歴史を学べば今の世の中が分かる」的なことを雑に言うが、それは割とポジショントーク歴史に多くを求め過ぎだと感じる。歴史は繰り返したり繰り返さなかったり、マイナーチェンジしたり全く違ったりするものである。
探求そのものが目的なら詳細を詰める事自体に学問的な価値があると思うが、ひたすら個々の歴史的詳細を引用し「〇〇という歴史があるから✕✕なのだ」という風に歴史に取り憑かれるのも、あまり人類にとってよろしくないという気がする(改めてそう思わせる出来事が幾つかあった)。歴史に取り憑かれて狂うのもまた人生、みたいなところはあるのだが、多くの人にとってはエッセンスだけ押さえて前に進む方が健全であるのは間違いない。

あと、経験はちょっと過小評価しすぎだろう。学びというのは多分に経験的なものだし。